「越境EC」をはじめるときに気をつけたい2つの落とし穴
海外へのネット販売でネックとなるのは、関税と配送
爆買いに続いて現在ブームとなっているのが「越境EC」、中国など海外向けのネット販売です。海外展開するにあたって、ライセンスや許認可などの手続きに時間も手間もかかることは、前回のコラムでお伝えしたとおり。その点、個人輸入のようなスタイルで行う「BtoC型越境EC」は、ライセンスを取る必要がないため、ハードルは少し下がります。
しかし、消費者にダイレクトに販売する「BtoC型越境EC」には、気をつけなくてはいけない落とし穴が2つあります。
まず、1つ目は関税です。友人に「ギフト」として送っても、税金が取られることもあるのが海外です。何がダメで何が大丈夫なのか、明確なルールがあるわけではないので、対策も困難。個人輸入の体で送ったところで、税金がかからない保証はどこにもありません。お客様にはリスクが伴うことをアナウンスする必要があるのです。また、今後は関税が強化される可能性もあり、展開するうえで大きな課題となります。
2つ目は、配送です。日本のように、全国どこでも指定した場所まで確実に商品を届けてくれる、宅配便のような配送システムは構築されていません。商品がお客様に届かない可能性があるだけでなく、スタッフが盗むという、日本では考えられない最悪の事態もあり得ます。またお客様のなかには、商品を受け取ったにもかかわらず「届いていない」と嘘をつく人さえいるのです。日本の常識がまったく通用しないなかで、配送を無事に行い、クレームに対応することができるでしょうか?
信頼できる企業との提携が、「越境EC」成功への鍵
これらの解決策としては、現地のECサイトに商品を掲載してもらう方法があります(BtoBtoC型)。この場合、海外の業者に商品を納め、その業者が国内の消費者に販売するのでスムーズに展開できますし、配送やクレーム対応も引き受けてもらえるので安心です。納税も正規に行われるため、関税がかかるかどうかわからないという不透明な部分もありません。ただし、BtoBtoC型の場合には、食品や化粧品などについては許認可を取る必要があることにご注意ください。
一方、自分たちのECサイトで販売したい場合は、配送で信頼できる現地の企業と提携することをおすすめします。こちらもクレーム対応も含めて現地にお任せすることで、ある程度のリスクは回避できるでしょう。
注意したいのは、ECサイトに出せば売れるというわけではないことです。「越境EC」を成功させるには、各国のネット媒体やSNSを駆使して、商品の認知度を上げたり、サイトへ誘導したりするプロモーションも欠かせません。
日本企業の輸出支援サービスを行っている「TENKAI」では、アドバイスはもちろん、提携先となる現地企業とのマッチングや手続き代行、プロモーションに至るまで、越境ECを成功に導くための様々なサポートを行っています。ご興味のある経営者の方、海外事業担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。