ASEANの優等生、マレーシア市場の魅力とは

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東南アジア諸国のなかでも電気やガス、水道、交通網などのインフラが充実し、海外展開を検討しやすい環境が比較的整っているのがマレーシアです。かつて、マハティール元首相が日本などを手本にした「東方政策」と呼ばれる経済政策を推進した経緯もあり、親日的なお国柄でも知られています。

日本企業の海外進出・アジア進出を支援する「TENKAI」がお届けするこのコラム、今回は海外展開を考える外資系企業が「ASEANの優等生」と位置づけるマレーシア市場の特長についてご紹介します。

投資先として好条件に恵まれたマレーシア

国名:マレーシア(Malaysia)
面積:33万km2(日本の約0.9倍)
人口:2995万人(2013年)
首都:クアラルンプール(人口158万9000人/2010年)
言語:マレー語、中国語、タミール語、英語
主要産業:製造業、農林業、鉱業
名目GDP:9867億リンギット(2013年)
経済成長率:4.7%(2013年)
在留邦人数:2万2000人(2014年10月)

 

1 建国から今日まで安定した政情を維持

1957年の建国から今日まで、一貫して同国の最大政党である「UMNO」(統一マレー国民組織)を核とした与党連合が国民から圧倒的な支持を受けて政権を維持しており、今後も安定した政権運営が期待できます。このあたりは、政情の不安定化による経済・治安面のリスクが懸念されるタイやインドネシアなどにはないメリットです。

2 マイカー所有率に見て取れる経済力の高さ

他のASEAN諸国に引けを取らない経済力があり、世界的金融危機の影響を受けた2009年の落ち込みを除けば、ここ10年間は平均5%以上の経済成長を果たしています。国民の生活水準も高く、自家用車を1台以上所有している世帯が93%(2014年時点)で世界第3位、2台以上を所有している世帯の割合は54%で、こちらは世界一を誇っています。

3 自然災害のリスクが少ない

東南アジアは台風や洪水が発生しやすい気象条件下にありますが、そうした自然災害が例外的に少ないのもマレーシアの特徴です。隣国タイでは2011年に大洪水が発生、現地の日本企業は甚大な被害を受けました。インドネシアでは2004年にスマトラ沖で巨大地震が発生しましたが、マレーシアは歴史的にこうした激甚災害にはほとんど遭っていません

4 豊かな天然資源で輸出好調

原油や天然ガスをはじめ、レアアース、天然ゴム、錫(すず)などの天然資源に恵まれています。欧米が経済的に苦しい局面でも、マレーシアは資源国の強みで輸出を好調に維持し、一貫して高い外貨準備を確保してきました。天然資源が豊富であるということは、原材料の現地調達がしやすいという点で製造業などのビジネスではとくに有利です。

5 層の厚い労働力市場

教育水準の高いマレーシアでは、産業も労働集約型から技術集約型、知識集約型への移行を果たしつつあり、こうした背景から単純労働を嫌う若者が増えてきました。しかし、若い労働力に恵まれていることもまた確かで、製造業や研究開発事業などのさまざまなジャンルで人材確保が期待できます。

6 イスラム圏への玄関口としての魅力

ASEANの主要都市だけでなく中東諸国へ直行便が就航するなど、同じイスラム圏への玄関口として重要なポジションを担うマレーシアは、ハラル認証を政府機関で行っている唯一の国です。「マレーシアハラル」と呼ばれるお墨付きには絶大な信頼があり、そのおかげでマレーシアはアジアにおけるハラル製品輸出の一大拠点となっています。

ハラルとは
ハラル(ハラール)はアラビア語で「許可されたもの」を意味する言葉で、イスラム教徒が日常生活で口にするものや身に着けるものすべて、イスラム法によってハラルかノンハラルかで規定されています。ムスリムにとって宗教上問題がなく、安心して利用できるものはハラルとみなされ、一般的には宗教法人が認証(ハラル認証)を行っています。

 

7 政府による積極的な誘致

政府が外国企業の進出を積極的に奨励している点もまたマレーシアの強み。製造・非製造を問わず、一部の例外を除けば外資100%での進出が可能です。また、ハイテク産業や環境関連作業については税制面での優遇も手厚く、この点では同じASEAN諸国のなかではシンガポールに次ぐ好環境といえるでしょう。

通貨の扱いと雇用面には留意が必要です

先進国入りを目指すマレーシアですが、国外でリンギット建ての取引を自由に行うことができない点は注意が必要です。規制緩和は段階的に行われていますが、国内のリンギット通貨を海外に直接持ち出すことはできません。また雇用面でも、マレーシアには同国の民族構成に沿ってマレー人を6割、華人を2割、インド人を1割の比率で雇い入れなければならないという独自の規制(ブミプトラ政策)を十分に考慮する必要があります。

ブミプトラ政策のように旧態然とした仕組みも一部ではありますが、総合的に見て、マレーシアはあらゆる面で魅力的な国といえるかもしれません。現時点での敷居の低さや今後のポテンシャルをトータルに考えれば、期待感の高い海外進出候補国といって良いでしょう。

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